「わかるようでわからない番組制作の仕事」について、さまざまな大学・学部のみなさんが学生目線でインタビュー!
インタビューに答えてくれた花組スタッフ
入社7年目のディレクター
橋新 亜貴子
「相葉ナマブ」(テレビ朝日)でアシスタントディレクターとしてスタート、現在は同番組でディレクターを担当し、「あたりまえにありがとう」(テレビ東京)などの特番にも参加。
インタビューをしてくれた学生さん
青山学院大学
文学部 比較芸術学科1年
“その華やかな世界の裏側で、実際に活躍しているクリエイティブの方々が、どのように番組を制作しているのか、また番組を面白くするにはどうしたらいいか綿密に考えられていた。”
今回は入社7年目のディレクター、橋新亜貴子さんに青山学院大学1年生の学生さんがインタビューしてくれました。
花組の橋新さんは相葉ナマブ(テレビ朝日)でアシスタントディレクターを経験後、現在は同番組でディレクターとして活躍中です。またそれ以外の花組の特番(「あたりまえにありがとう」(テレビ東京))なども担当しています。
学生(青山学院大学):橋新さんがテレビ業界を志した経緯を教えてください。
橋新(花組):元々大学では、テレビとは全く関係のない福祉関係の勉強をしていましたが、1、2年するうちに若いうちにもう少しできる仕事があるんではないかと思い、他学科のマスコミ系の授業を取ったりしました。色々なジャンルに興味があり、次第にテレビ、CM、イベントなどのエンターテインメント系、マスコミ系に興味を持つようになりました。新卒で花組に入社したわけではなく、元々は別の派遣会社からADとして出向するような形でした。その後、出向先であった花組に入社し、まずはADとして仕事を覚えていきました。
学生:福祉系!てっきりテレビ業界の方々は映像・音響といった専門系やメディア系を専攻している方ばかりかと思っていました。
橋新:もちろん入社時にすでにそういった専門性を持った人もたくさんいて、もちろん映像ソフトが使えるといった技術はプラスアルファになるとは思いますが、意外と社会人になってテレビ業界で働き始めてからそういった技術を覚えていく人も多いんですよ。
学生:番組制作のお仕事の業務内容、私たち学生が知らない一面について教えてください。
橋新:番組を企画し、実際にロケをし、動画の素材を編集します。
私は、現在「相葉マナブ(テレビ朝日)」担当しています。「相葉マナブ」は9年前に始まった番組で、ADだった9年前からずっと担当しています。
アシスタントディレクターとディレクターがペアになり、全5班で週一のオンエアに向けてローケーションを組んでいます。ロケは月に2-3回行って、約1ヶ月でテレビ局に納品する流れです。
具体的に「相葉マナブ」では、実際に取材させて頂く農家さんにアポイントメントをとって下見をして、使う野菜や料理のレシピを決定し、食器や調理器具を揃えたりします。その後ロケ台本を作成し、実際にキャストのみなさんとロケを行います。もちろん台本通りにはいかないことが多いです。3〜4時間ある素材をカットし編集、テロップやナレーションを入れる作業を行います。
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新田桜子(アシスタントディレクター)×武蔵野美術大学 造形学部 芸術文化学科2年
“番組制作は人と人とのつながりが大切なお仕事。たくさんの人との関わり、そしてコミュニケーションを円滑にすることでよりいい番組が作り上げられる。”
学生:番組制作のお仕事のやりがいはなんですか?
橋新:本当にすごく小さいことなんですが、自分で実際に取材交渉で電話して対応してくださった農家さん達をいろんな方に紹介できたりとか、実際のロケ現場で、自分がいいなと思って提案した料理を、キャストさんたちに「おいしい!」と言ってもらえた瞬間は、やっててよかったなと感じます。ADになった当初、そう感じたことを今でも覚えていますが、ディレクターになった今でも、相葉さんがロケ中に美味しそうに食べてると、うれしく感じますね。
学生:花組という番組制作会社について教えてください。
橋新:花組は、元々私が入った当初は、新人をたくさんとる会社ではなかったのですが、ここ2、3年は新人教育に力を入れています。仕事なので、和気藹々という感じではないですが、比較的ディレクターとADの歳が近く、いろんなことを聞きやすい、相談しやすい環境だと思います。あとは、この業界ではどうしても深夜まで打ち合わせがあったりなど労働時間が長くなってしまいがちなのですが、うちではADさんも働きやすいようにシフトを組んで、労働時間の調整を行っています。
学生:この業界はどんな人に向いていると考えますか?
橋新:先ほども言いましたが、編集ソフトが使える、撮影機材を知っているといった技術的なことは実際に働きながら身につけていくことができるので、一番大事なのは一般常識です。挨拶ができるとか、ちょっとした気が遣えるとか、返事がしっかりできるとか。当たり前のことと思いがちですが、やっぱり人との関わりを大切にする業界なので、常識的なことが大事になってきます。例えばロケ先では農家さんとか、企業さんとか本当にいろんな人とお話しするので、いかに気持ちよく取材を受けて頂くかが大切だと思っています。
学生:今お仕事をされていて学生時代にしたこれが役に立っている!もしくはこれをやっておけばよかった!と思われることはありますか?
橋新:役立っているのは、パソコンのスキルです。とは言っても、ワード、エクセル、パワーポイントと言ったソフトウェアの基本操作であって、大学生活で身につく程度の、基礎的なスキルです。この業界に限ったことではありませんが、仕事する上でパソコンは確実に使います。
やっておけばよかったと思うのは、映画やアニメ鑑賞です。ロケ中や会議中に、ドラゴンボールのあのキャラみたい!といった話が出ても、みんなが見ていたアニメを見てこなかったのでいまいちピンと来なかったりします。共通認識として、最低限流行った映画ぐらいは観ておけばよかったなと思いますね。また、社会人になると思っている以上に時間がないので、国内外問わず旅行をしておけばよかったと思います。地名を知っている、実際にその土地を知っていることは仕事にも活きてきます。映画や漫画、旅行などの娯楽も、案外、番組制作の仕事に繋がっています。
学生:Youtubeなどが流行ってテレビ離れとも言われる時代ですが、テレビ以外の映像メディアについてどう思いますか。
橋新:テレビには、それに関わる人たちの撮影や編集といった一流の技術があって、他メディアにはまた違う魅力があるので、それぞれのコンテンツで相互に活きてきたらいいなと思います。また、テレビ番組の制作会社の中にはYoutubeやNetflix、Abemaなど、テレビ以外のメディアに参入しているところももちろんあるので、今後は一概にテレビだけのお仕事をするわけではないなとも考えています。
橋新さんへインタビューしてみて
今回、テレビ業界の方とお仕事の話をお聞きするのは初めてでした。実際のロケ現場や編集のお話を伺って、テレビという華やかな世界の裏側で実際に活躍しているクリエイティブの方々が、どのように番組を制作しているのか、また番組を面白くするにはどうしたらいいか綿密に考えられている様子がわかりました。貴重な機会をありがとうございました。