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「わかるようでわからない番組制作の仕事」について、さまざまな大学・学部のみなさんが学生目線でインタビュー!

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インタビューに答えてくれた花組スタッフ

 

入社10年目のプロデューサー

勝木 拓郎

「相葉マナブ」「「マッドマックスTV」「凪咲と芸人マッチング」「しくじり先生」(テレビ朝日)、「フルタチさん」「芸能人が本気で考えた!ドッキリG」(フジテレビ)、「所でナンじゃこりゃ」(テレビ東京)などを担当。

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インタビューをしてくれた学生さん

 

東京理科大学

経営学部2年

他の学生インタビュー

番組制作は自分が面白いと思ったことが一つの映像作品として残るのがいいところ。テレビ業界には様々な職種のプロフェッショナル達がいて、一つの番組はその力の結集である。”

今回は入社10年目のプロデューサー、勝木拓郎さんに、東京理科大学2年生の学生さんがインタビューしてくれました。

花組のプロデューサーの勝木さんはアシスタントディレクター、ディレクターとして相葉ナマブ(テレビ朝日)、フルタチさん、芸能人が本気で考えた!ドッキリG(フジテレビ)や特番など数多くの番組を経験、その後その経験をもってプロデューサーとなりました。現在はマッドマックスTV、凪咲と芸人マッチング、しくじり先生(テレビ朝日)、所でナンじゃこりゃ(テレビ東京)などの番組を掛け持ち活躍中です。


学生(東京理科大学):テレビは最も身近な娯楽として、人々の生活に欠かせないものです。しかし、一つのテレビ番組がどのように作られているのかは意外と知られていません。今回は花組でプロデューサーを務める勝木拓郎さんに、番組制作のことや花組という制作会社についてなど、テレビ業界に関するお話を伺いました。

学生:テレビ番組はどのように作られているのですか?

 

勝木(花組)制作会社が作る番組には、大きく分けて2パターンあります。制作会社が企画を立ち上げて、テレビ局に打診するパターンと、テレビ局が企画を立案して、制作会社に依頼するパターンです。ただどちらも完成までの工程はほとんど同じです。まずは予算に応じて、大まかな企画内容を作家、ディレクター、AD、プロデューサーを含めて話し合い、ディテールを詰めていきます。その後出演者やカメラマンを募って、取材・撮影に向かいます。撮影終了後、一番初めに行うのはオフラインという作業です。この過程ではディレクターが映像を繋いで、一つにまとめ上げます。次にポスプロと呼ばれるテロップ入れなどをする過程に移ります。完全にテロップを入れ終わったものを画完と呼び、その画完を音効さんと呼ばれるSE をつけるプロフェッショナルに渡し、ディレクターの好みなども反映しながら音をつけてもらいます。最後にミックスという作業があり、ここでNG なコメント削除したり、BGM 音量の調整をしたり、SE を足したりし

ます。こうして一つの番組が完成します。

 

学生どちらのパターンのほうが多いですか?

 

勝木テレビ局が企画を立案して、制作会社に依頼するパターンのほうがやはり多いです。テレビ局単体で番組を作るのは大変なので、局の若いディレクターが作った企画があるので一緒にやってくれませんかというパターンが多いです。

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学生ディレクターとはどういった仕事ですか?

 

勝木:ディレクターは番組のクオリティーを担保する人たちで、ADに対する指示を出して、最終的に番組を成立させることが仕事です。企画段階からこういう企画どうですかであったり、このようなコーナーどうですかっていう提案をして、ADに小道具の準備やリサーチの指示をかけます。現場においてもカメラマンへの撮影の指示をして、先ほど話したオフラインという作業をして、ナレーションなどを構想します。その後各プロデューサーにチェックを受けて、編集まで携わります。なので番組作りの根幹を担っているのがディレクターです。

学生:プロデューサーとはどういった仕事ですか?

 

勝木:プロデューサーは人を集める、予算管理をする、危機管理をする仕事です。人を集めるところで言うと、新しい企画が立ち上がり予算が決まると、こういう番組の作り方が出来るなということが大体想像できるので、だったらディレクターはこの人にしよう、ADはあの人でやろう、音効さんはあの人にしようというのをテレビ局とやり取りします。危機管理であれば、企画の段階でコロナ禍でクラスターの恐れがあるから食事のシーンはやめようであったり、出来上がったVTRに対しても、例えばタレントさんが「それは頭おかしいでしょ」と言っていたらいろいろマズいので、切り取って「それはおかしいでしょ」に変える、というような危機管理的なことをやります。

 

学生:アシスタントディレクター(AD)とはどういった仕事ですか?

 

勝木:ADは言われたことを最終仕上げ以外全部やります。ロケで使う小道具の買い出しもやるし、取材先へのアポイントもやるし、一般の素人さんにリサーチをかけて出演依頼をしたり、インターネットでネタのリサーチをしたり、ほとんどすべてです。ただ、番組のPRの動画作成をしたり、番組のワンコーナー作成したり、ディレクターとの基準があいまいで、ディレクターレベルの仕事をしている人もいます。

 

学生:制作会社におけるキャリアパスを教えてください。

 

勝木:これも2パターンあって、現場に立ってディレクターをやって、演出をやりたい人と、そうではなく僕みたいなプロデューサーをやりたい人に分かれます。まず初めはみんなADをやります。そこで3~5年経験を積んで、ディレクターをやりたい人はディレクターになり、その中でも素質のある人はディレクターの最高峰である演出という、すべてを取り仕切る人になれます。一方でプロデューサーをやりたい人はAPになり、プロデューサーへの道に進みます。ディレクターとプロデューサーは作り手側と裏方側というような感じです。

 

学生:演出がディレクターの最高峰ということですが、同じディレクターでも役割が分かれているのですか?

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勝木:例えば演出だと、番組によってはいないこともあります。これは番組の規模によって違う部分で、イッテQのような大きな番組だとコーナーがいろいろあるので、各コーナーをどう構成して1時間の番組にするかを考えるのが演出で、演出の下に各コーナーを担当するディレクターがいるというイメージです。

 

学生:これまで勝木さんが携わった番組の中で、一番大変だった番組はなんですか?

 

勝木:若い頃のほうが大変なことが多くて、ただそれは精神的に追いついていなかったからだと思います。番組でいうと1年目の一番初めにやったテレビ東京の川の源流を目指す旅番組で、東京湾の河口から山の上の荒川の源流点を目指したのですが、ADが僕一人しかいませんでした。当時は仕事を始めて2ケ月から半年ぐらいで、まだ何もわかっていない状況にも関わらずいきなりチーフADとしての仕事をさせられてしんどかったです。もちろん今は時代が違いますけど(笑)。

 

学生:一番やっていて良かった番組はなんですか?

 

勝木:ディレクターとしてやったフジテレビの「フルタチさん」という番組なんですけど、うちの会社としてその番組には携わってたのですが、僕だけ半分フリーランスみたいな感じで局に在中していました。一つのコーナーで20分ぐらいのVTR を作った時に誰よりも早く方向性を決められて、誰よりも早く完成させられて、他のディレクターが同じような企画で進めている中、早い段階で違ったもの出せたのが良かったです。

 

学生:番組制作という仕事のいいところは何ですか?

 

勝木:何がいいで言えば、自分が面白いと思ったことが一つの映像作品として残るのがいいところです。それは今の時代YouTubeでも出来るとは思うのですが、それとは違うお金のかけ方とプロフェッショナルの力があります。ある意味、自分にセンスが無くても、企画さえ通ればプロのプロデューサー、プロのカメラマン、プロのADの力で驚くほど簡単にクオリティーの高いものが完成しちゃいます。それはYouTubeとかでは絶対に起こりえないと思います。

 

学生:花組が得意とする番組の種類は何ですか?

 

勝木:花組は本当にいろいろな番組の種類全部やっていて、例えば「相葉マナブ」みたいな情報系バラエティーがあれば、「しくじり先生」みたいなド・バラエティなのもやっていますし、テレビ東京では「土曜スペシャル」という旅番組をやっています。だからどれが得意・苦手みたいなのはあまりないです。

 

学生:まんべんなくテレビ局から企画が来るということですか?

 

勝木:そういうことです。この企画だから花組さんにはお願いできないなみたいなのは全くありません。それこそオリンピック前には「ビートたけしのスポーツ大将」っていうスポーツ系の番組もやりました。

 

学生:テレビ業界はどんな学生におすすめですか?

 

勝木:これはどの業界でもそうだろってなっちゃうかも知れないですけれど、向上心を持って早く上に上がりたい、自分はディレクターになりたいんだ、自分はプロデューサーになりたいんだっていう明確な意思をもって下積みをやれる人です。どのみちどの業界でも下積みは必要だと思うし、テレビ業界で言えばそれはADですけれど、ADの時からディレクターになるために、演出の技術を上の人からどんどん盗んでいこうっていう意識を持てる人です。

 

学生:テレビ局と番組制作会社ではどんな違いがありますか?

 

勝木:違いはほとんどないと思います。ただ、テレビ番組を作りたいということであれば、テレビ局に入った方がいろいろと出来ることが多いです。というのもテレビ局では偉くなるスピードが速いです。ただ、純粋に面白い番組を作れれば速く偉くなれるのかというと微妙なところで、駆け引きのうまさが絡んできます。やはり組織内での駆け引きが下手な人は出世できないし、本当は制作の仕事がしたいのに、総務部といったテレビとは関係ない部署に配属されてしまうということもあります。なので何がどうあれテレビ番組が作りたいということであれば、番組制作会社に入るというのも選択肢も一つだと思います。

 

学生:テレビ局のほうがハイリスクハイリターンということですか?

 

勝木:本当にやりたいことが出来ないリスクで言えばそうですが、給与面で言えばテレビ局は安心です。局員であれば1 年目のADから平均年収を大幅に超えた稼ぎが出来て、それは制作会社ではできないことです。ただ、ストレスが多く辞めていく人がいることも事実です。先ほど話しましたが、テレビ局と制作会社はほとんど違いはないと思うので、こうだからテレビ局、こうだから制作会社というのは無いと思います。

 

学生:テレビ業界に入るにはどのようなスキルが必要ですか?

 

勝木:最低限このスキルが必要っていうのは無くて、ただ皆当たり前のようにOfficeだったりZoomは扱えます。なので、Googleで調べれば分かることは普通に出来ます。

 

学生:テレビ業界はどこの出身大学の人が多いですか?

 

勝木:テレビ局で言えば、有名大学出身の人をよく見ます。制作会社で言えば専門学校で映像やってましたっていう人が多い印象です。ただ僕の時代はあまり大卒はいなかったですけど、最近は大卒の人が多いです。テレビ業界に入る時は、映像を勉強していたからスタートダッシュが切れるというわけでは正直なくて、僕も映像の勉強は一切していなかったですし、あまり関係ないと感じます。

 

学生:テレビ業界の知られざる一面はありますか?

 

勝木:テレビ業界はブラックと言われることが多くて、事実の部分もあると思うのですが、それは意外と10年前ぐらいの情報で、今はADもちゃんと休んでいる印象です。もちろん大変な番組は大変ですが、きちんとシフトを組んで、ADもたくさん集めて、休めるような体制を組んでいるのが今のテレビ業界です。

 

学生:予算の少ない小さな番組と予算の大きい番組とではどちらが大変ですか?

 

勝木:大変の種類が違うと思っていて、大きい番組だと予算があるのだからこのクオリティーをクリアして来いよっていうプレッシャーがあって、予算のない番組だと予算のない中でどうやりくりするかという大変さがあるので、一概には言えないです。単純に予算が少なければ少ないほど人員は削減されるし、逆に大きければ大きいだけやらなければならないことが増えていくので、それぞれの大変さがあるというイメージです。

 

学生:テレビ番組は企画立案からどのぐらいの期間で放送されるのですか?

 

勝木:ほとんどの番組は企画が走り出してから3か月ぐらいです。ただ、レギュラーのギリギリの番組とかだと、1か月前とかに企画が決まって、何とかやりくりしてオンエアっていうのもあります。さすがに2週間とかで作り上げることとかは無いです。

勝木さんへインタビューしてみて

最近ではYouTubeやInstagram Reelなど、映像コンテンツは多様化しています。しかしその中でテレビが特別であり続けているのは、テレビ業界には様々な職種のプロフェッショナル達がいて、一つの番組はその力の結集であるからだと、今回のインタビューでよく分かりました。